前回までの「金アレ」は...
アレルギーでの種類にどんなものがあるのか、どんな症状が出るのかなどをお話ししました。
今回はちょっと気になる新聞の記事と、アレルギーを起こす金属についてです。
まずは先日の日経新聞に掲載されていた、ある重大記事から。
【水俣病30代も症状】
...30代にも症状、とは一体どういうことでしょう?
現在、水俣病特別措置法に基づく救済政策の申請期限が7月末に迫ったことに伴い、それと関連性のありそうな地域で大々的な検診が行われているのですが、直接、あの事件に関係ない30代でも水俣病の症状が確認されているというのです。
水俣病といえば、原因がわかるまでに大勢の命を奪い、歴史に残る大惨事となりました。
あれは今から約60年程前の出来事ですから、30代にもその症状が出ているということは、直接水銀に晒(さら)された世代から、その毒性を引き継いだと考えられます。
水俣病の原因はメチル水銀であることは皆さんもご存じだと思います。
これが神経に取り込まれると中枢神経が冒されて重篤な症状が現れ、また、肝臓などに取り込まれれば肝機能障害を起こします。
結局、大量の水銀に晒されたことで、それらが内臓に深く取り込まれたまま残り、出産によって次世代へ引き継がれ、さらに中毒も引き継がれていることが確認されたということは、
金属アレルギーを引き起こす原因物質も、程度によっては、一世代では終わらずに次世代まで引き継がれてしまう可能性があるという証明にもなるでしょう。
毒性が、中毒症状が、一世代では終わらない...親である自分と同じ苦痛が子供にも引き継がれていくかもしれないのです。
なんとも恐ろしいことだと思いませんか?
では、アレルギーを引き起こす金属とはどういうものでしょうか。
細かくは「元素周期表」見て頂ければ判るのですが、問題になるのは前述の水銀の他、「重金属」と呼ばれる金属です。
以下に、アレルギーを引き起こすと思われるものを列挙しておきます。
Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Pd(パラジュウム)、Ag(銀)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Au(金)、Hg(水銀)など。
ただし、中には生きていく上で必要な物もあります。
また、全ての金属が全ての方々に悪さをするものでもありませんが、上記のものは気を付けなければいけない重金属群です。
残念ながらこれらの金属の取り込み要素として一番多いのは歯科治療に使われる金属です。
診療科目のアレルギー欄でも書きましたが、日々、イオン化された金属が食事や唾液などにより口腔粘膜や腸管粘膜から吸収され、体内へと取り込まれるのです。
それだけではありません。
水道水や食器、調理器具などに使われる金属からも取り込みますし、 勿論、缶詰や缶ジュース、缶コーヒーなどの素材からも取り込まれます。
意外なところではチョコレートやコーヒー、お茶類にも多量の金属が含まれるということですから、できるだけそういったものは避けたほうが良さそうなのですが、
そうは言っても、それらまで避けるとなると、世の中味気なくなりすぎるということもありますから、バランスを考えてとりすぎないようにするのがいいのではないかと思います。
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