先日見かけた女性週刊誌。
あまりの見出しに思わず買ってしまいました。
その見出しとは…
『カルシウム摂り過ぎは死亡率2.6倍に!』
それは今年の2月にスウェーデンのウプサラ大学の発表を受けての記事でした。
50才以上のスウェーデン女性6万1443人の食事を平均19年に渡り追跡調査した結果、通常の食事で1日1400mg以上のカルシウムを摂取していた女性は、欧米の標準値である600〜1000mgの女性に比べて死亡率が1.4倍も高く、通常の食事にサプリメントも加えて1日1400mg以上のカルシウムを摂っていた女性はなんと死亡率が2.57倍に跳ね上がったというのです。
死亡リスクを上げたのは、心筋梗塞、狭心症などの「心血管疾患」でした。
体内のカルシウムは骨や歯に99%、残りの1%は血液や筋肉などの臓器にあります。
カルシウムを過剰に摂取すると、血中のカルシウム濃度が上がって血液がドロドロになります。そして、血管の細胞や組織に付着して固まったり(石灰化)、プラーク(脂質などの塊り)を作って動脈硬化を引き起こすほか、さらに心筋梗塞等を発症させると考えられています。また、サプリメントは一般の食事よりも吸収が高く、急激にカルシウム濃度が上がるので、そういった事から『カルシウムパラドックス』という言葉が生まれたのでしょう。
『カルシウムパラドックス』
パラドックス【paradox】とは、「逆説」という意味ですが、日本国語大辞典によると、『一見、不合理であったり矛盾したりしていながら、よく考えると一種の真理であるという事柄。』とあります。
日々の食事でカルシウムの摂取量が不足すると、生命維持のため骨や歯からカルシウムイオンが溶け出します。
その情報をつかさどるのが副甲状腺ホルモンなのですが、副甲状腺ホルモンがいつも出ていると、骨から過剰にカルシウムイオンが放出され、その、余分なカルシウムイオンが血管や脳、軟骨などの、通常はカルシウムが存在しないところまで入り込んでしまいます。
その結果、さまざまな病気が引き起こされる事になり、このような仕組みを「カルシウムパラドックス」というのです。
カルシウムが不足して溶け出したカルシウムイオンは、体内(細胞、脳、血管、臓器)で増えすぎる。そして、過剰に溶かした骨の方が脆くなり、身体の細胞が硬くなる。
また結石ができやすくなることから、歯石の付着に繋がるのではないかと、これはあくまで私的な考えですが、僕はそう考えています。それくらい、歯石の多い患者さんとお話すると、必ず体調不良や疲れなどを訴えるからです。
……と言うところで、長くなるので今日はここまで。
次回はカルシウムパラドックスと病気の関係についてお話ししましょう。
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