少し間が空いてしまいましたが皆さんお元気ですか?
さて、もうじき6月ですね。6月と言えば6月4日の「虫歯予防の日」。
というわけで今回は、「バイオフィルム」という言葉もだいぶ広く知られるようになった虫歯のお話です。
虫歯や歯周病に悩まされている方も多いとは思いますが、実は口の中って、歯菌、歯周病菌にとっては住みにくい環境なのです。
ちょっと信じがたい話ですが、ホントにそうなんです。
というのも、唾液中や体液中は抗菌力が強いばかりでなく、すぐに洗い流されて消化管に送り込まれ、強い酸により殺されてしまうのです。
歯の凸凹や、歯周ポケットも他の細菌に占領されていて、なかなか住み続けられる環境ではなく、歯肉の近いところで漂っているだけでは、生体の貧食細胞にすぐ食べられてしまう。
しかし、なんとかして彼らも生き延びなければなりません。
滅亡の危機に瀕し、賢かった彼らは他の細菌を味方につけることを思いつきます。
自分たちが産生した多糖体の中に他の菌も取り込んで住みやすい住環境、一種の共同体(コロニー)を作り上げます。
口の中にはコロニーの付着しやすい硬組織、つまり歯や歯根の表面などが存在します。
そして、コロニーは互いに合体してゆき、細菌、多糖体とその副産物の集合体(マトリックス)を作ります。
このマトリックスを【細菌バイオフィルム】と言います。
これは歯科だけの話ではなく、医療関係の世界にも存在します。例えばカテーテルと呼ばれる管(点滴などの管等)に発生したり、身近では台所の三角コーナーのぬめり、そしてコンタクトレンズの表面にも出来たりします。大手、歯磨剤メーカーがすでに数年前からCMにもこの言葉を使用していましたから、聞き覚えのある方も多いかと思います。もっと判りやすく言うと、悪玉菌が仲間を作り、手を取り合って増殖し、この増殖した塊が更に合体してどんどん大きく増えていったものがバイオフィルムなのです。そしてこれが虫歯、歯周病の一大原因となるのです。長くなるので今回はここまで。次回はこの細菌の塊をどう、やっつけるかということをお話ししましょう。