まずはこのたびの熊本県地震により被災された皆様、そのご家族の方々には、心からお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
……
あっという間に桜の季節が過ぎ、緑薫る爽やかな季節になりましたが皆さんお元気でしょうか?
いや、ちょっと日々に流されていたらもう5月。先月には熊本で信じられないような地震が続きました。歴史上初めてと言われるこの地震は、いつ収束するのか誰にも判らない状態で、気象庁ですらさじを投げました…初めてで見当も付かない…と。まさにその通りですよね。
改めて日本という国は世界一危険な国である、ということを思い出しました。幾重にも合わさるプレートの上に、きわどいバランスで存在している日本……そんな危険満載の国に原発が山ほどあるなんて、無謀としかいえないと改めて思いましたが皆さんはいかがお考えですか?
さて、今回はアレルギー治療についての話題です。この前「週刊文春」の「アレルギー医療の常識が変わった!」という記事を立ち読みしてたら、内容が良かったので買いました。これについては読んだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
キーワードは「Tレグ細胞(制御性T細胞)」です。これは約20年ほど前に、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの坂口志文(しもん)教授が見つけたものです。ではTレグ細胞とはどんな細胞なのでしょうか。どうやらこの細胞の多い、少ないによってアレルギー反応が出たり出なかったりするということらしいのです。
さてここで少しおさらいです。
・免疫のしくみ
1.細菌等が傷口などから体内に侵入。
2.血管やリンパ腺をパトロールしているマクロファージ等が細菌を見つけ、体内に取り込む。
3.マクロファージの表面に細菌の一部が飛び出す。
4.司令官のT細胞にそれを見せる。
5.a)問題なし!と判断されれば攻撃なし。
5.b)有害と判断されると、T細胞が細菌の侵入箇所に行ってサイトカインという物質を出し、実働部隊の攻撃を命令。
(マクロファージが直接アタック、活性酸素を使う、攻撃物質のサイトカインの放出、B細胞は抗体を作り細胞を攻撃)
……ざっとこれが免疫の仕組みになります。しかし、ここに書いた細胞たちは攻撃専門の細胞ばかり。教授はここに注目したのです。攻撃する細胞がいるなら、その攻撃を止める細胞がいるのではないか?……その見地から研究が進められたそうです。
攻撃細胞が攻撃したあと、敵が全滅した時に誰かがこれを止めなければ、余計な攻撃で体を痛めてしまう。そこでこのTレグ細胞が有効だというのです。というのもこの細胞こそが、攻撃を制御する細胞だったのです。
このことから、アレルギーがある方は、Tレグ細胞が少ないことによって過剰な攻撃にさらされ、アレルギーを起こしていた、ということになるわけです。
また、一方で癌などは逆に攻撃不足で起こります。というのも、その時にはTレグ細胞が攻撃力を強くさせる細胞として働くのです。発見から現在までに、各国でそれぞれの研究や臨床実験が行われ、昨年の2月のアレルギー学会でロンドン大学のギデオン・ラック教授が「子供たちにあえて早い段階でアレルギー食物を摂らせることでこのアレルギーを予防できることが判明」(このアレルギー食物とはピーナッツ。海外の方はピーナッツアレルギーが多いらしい)と発表しましたが、実はこれ、今現在アレルギー治療として指導されている内容とまるっきり逆の内容です。
しかし、こうして早く取らせることでTレグ細胞が多く作られていたのです。
さらに驚いたのは、食品由来のスキンケア製品には注意しなければいけないということ。食品由来の成分は、肌から取り込むとアレルギー反応が出やすくなり、摂取するとTレグ細胞が増えるというのです。
触れるが先か、食べるが先かで天国と地獄の差が出てしまうというのですからびっくりです。
以上のことを考えると、今後アレルギーは完治する病気になるかもしれません。また、この応用が舌下免疫療法であり、この治療法についても勿論、専門に研究している医師に診てもらうことをお勧めします。
まだまだ判らないことも多い分野ですが、今後も目が離せませんね。