ちょっと間が空いてしまいましたが、皆さんお元気ですか?
さて、今回は先月末に行われた京都JAMFで、河瀬歯科医院理事長の河瀬敦先生が2011年9月24日、日本歯周病学会秋季大会でvan Dykeの講演発表を説明した内容です。
専門的なことになるので、少し難しい、ちょっと聞き慣れない言葉が続きます。
2010年、AAPD(American Academy of Pediatric Dentistry)は歯周病を、感染症というカテゴリーから炎症性疾患に変えました。
そして、宿主の反応が歯周病で重要な役目をはたしていて、組織破壊は宿主が反応した結果、起こったものである、ともしたといいます。
したがって、P.g.やA.a.は歴史的な歯周病原体と見られるようになり、細菌から宿主へと大きな理論的枠組みが変わったとし、そして現在、RvE1という薬の局所塗布に注目が集まっているとのことでした。
それにともない「Resolvins」(魚油の成分で知られるオメガ3脂肪酸/EPA,DHA:この物質は血管内皮細胞で窒素を産生し、白血球が内皮細胞に付着するのを防ぎ、炎症を抑制する。関節炎や脳梗塞、敗血症にも効果がある)やLipoxins(w6脂肪酸由来の抗炎症物質)という薬も紹介されたそうです。
そして歯周病に関するこの考え方の変化は、歯周病原菌をやっつける考えよりも宿主を強める方向性になったことを意味している、と結んでいました。
これはいわゆるパラダイムシフトとも言うべきもので、歯科の常識を覆したことになります。
というのも、歯科治療に関して、それが口の中だけに留まらず、体を元気にしなければ、歯周病には太刀打ち出来ないという内容であり、歯磨剤ではなく、
以前からお勧めしているオメガ3脂肪酸で健康状態を作ろうといった研究がなされ始めたということでもあるのです。
通常のブラッシングだけでなく、体の健康をもっと考えた栄養指導の重要さを実感させられました。
ちなみに先生は岡山大学ご推薦の「つまようじ法」というブラッシングも披露してくれたので、非常に興味深く見学させて貰いました。
(※爪楊枝法…歯肉細胞の増殖を促し、歯肉出血をなくし、歯周病原菌の栄養を断つブラッシング法。
つまようじで突っつく方法じゃありませんよ(笑)